〽山寺の和尚さんが鞠(まり)はけりたし鞠はなし 猫をかん袋に押し込んでポンとけりゃニャンとなく…。童謡「山寺の和尚さん」の出だしである▼歌の中のこととはいえ、猫にすれば迷惑な話。愛猫家でなくても動物虐待の極みと眉をひそめたくもなる。こんな坊さんとは対極の、猫をこよなく愛する僧侶が那須町にいる▼真言宗の寺院「長楽寺」の住職鈴木祥蔵(すずきしょうぞう)さん(57)だ。4匹の猫に囲まれ、穏やかに過ごす日々をツイッターで発信。今やその投稿をリアルタイムで読むフォロワーは8万人にも上る▼「寺と住職と猫」という取り合わせが、愛猫家の心をいたくくすぐるらしい。ツイッターを読むだけでなく、遠くは北海道から大阪まで多くの参拝客が長楽寺に集まる▼迷い猫のミー子を9年前に保護し、生まれた子猫たち3匹も一緒に飼っている。ツイッターは妻の繭子(まゆこ)さん(46)が4年前から始めた。「猫を中心とした日常の暮らしをはじめ時には寺のこと、仏教のことも分かりやすく伝えています」。敷居が高いと思われる寺の存在を身近に感じ取ってもらうためだ▼出版社「KADOKAWA」の編集者の目に留まり、写真エッセー集「てらねこ」として刊行され話題を呼んでいる。ツイッターなどSNSをうまく使いこなせば、山あいの寺でも日本中に発信できる時代になった。