目を輝かせて話す姿は2年半前と変わらない。宇都宮市のリキュール製造販売「栃木リキュール」代表取締役の原百合子(はらゆりこ)さん(37)。変わったのは、夢が現実になった点だ▼2016年からスタートした栃木銀行のビジネスプランコンテストで、初の最優秀賞に輝いた。バーテンダー時代、カクテルで使われるリキュールの着色料や添加物でアレルギーを起こした。無着色で地元農産物にこだわったものを作りたいと臨んだ▼今年2月、イチゴやユズなどを使った製品の販売・出荷にこぎ着けた。ラベルのデザインなどを含め、1人で製造に当たる。市内の小さな工場には出来上がった瓶が所狭しと並ぶ。販売促進に手が回らず「こんなに作って売れるのか」と慌てる日々が続く▼それでも「楽しい」と笑顔を見せる。複数の製品が早くも国際大会で入賞するなど高い評価を得、自信を深める。一方で、融資の返済が始まった。試練の時が幕を開けた▼地方が低迷する中、起業が経済の活性化を導くと言われる。課題は起業そのものより、5年後10年後、事業が地元に根付くことができるかどうか。行政や金融機関などの支援が鍵を握る▼原さんのリキュールは決して色鮮やかではない。着色料の代わりに原さんの情熱を溶かし込んだ素晴らしいカクテルが、いつか全国に広まればいい。