野部さんが生前に沢沿いに植えたクリンソウ

野部さんが生前に沢沿いに植えたクリンソウ

野部さんが生前に沢沿いに植えたクリンソウ

野部さんが生前に沢沿いに植えたクリンソウ 野部さんが生前に沢沿いに植えたクリンソウ 野部さんが生前に沢沿いに植えたクリンソウ

 【佐野】今月7日に86歳で亡くなった仙波町、野部博(のべひろし)さんが生前に植えたクリンソウが今年も花を咲かせた。野部さんは、中山間地域の景観を良くしようと、10年以上前から自宅付近の土手などで植栽活動をしてきた。妻サイさん(86)は24日、クリンソウの紫色の花びらを眺め、「毎年この花が咲くたびに、博さんを思い出しそうだね」と目を細めた。

 野部さんは4月中旬ごろに食欲をなくし、病院の検査で食道付近にがんが見つかった。それからわずか約3週間後に息を引き取った。

 若い頃には会社員などを務め、年金暮らしで時間に余裕ができた70代の頃から、自宅そばを流れる仙波川の土手の整備を続けてきた。地元に彩りを増やそうと植えたアジサイなどは市内外で話題を呼び、「市水と緑と万葉のまち景観賞」も受賞した。

 クリンソウは2年ほど前に、地元で「ホタルの里」と呼ばれて親しまれている小さな沢沿いに植え始めた。新芽を荒らしてしまう山のシカに悪戦苦闘しながら地道に増やし、今では沢沿い100メートル以上を紫色の花が彩っている。今年も3月ごろまで、草むしりなどに汗を流していたという。

 24日もクリンソウは沢を吹き抜ける風に揺れ、付近をチョウやトンボが飛び回っていた。サイさんは「博さんは仕事場のように毎日ここに通っていた。種がこぼれて、今後もっと花が増えるかな」と笑みを見せ、花をじっと見つめていた。

 クリンソウの花はあと数日ほどは楽しめる見込みという。