市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が21日、開始から10年を迎えた。本県では今年3月末までに、計1119人の県民が裁判員に選任され、宇都宮地裁で193人の被告に判決が言い渡された。多くの県民の視点が司法の場に反映された一方、裁判員を選ぶ選任手続きへの出席率は全国と同様に低下傾向にあり、7割に届かない状況が続くなど課題もある。

 地裁などによると、裁判員候補者名簿に記載された県民は5万4340人。うち、正当な理由で辞退が認められた人を除いて選任手続きへの出席を求められたのは8905人だったが、出席者は5947人にとどまった。

 選任手続きへの出席率は制度開始の2009年の80・9%をピークに低下傾向にあり、14年に66・1%となった。15年は70・4%に上がったものの、16年(66・1%)以降は7割を切っている。

 病気や仕事など正当な理由で辞退が認められる人は増えている。辞退率は09年の45・0%から増加し12年の60・3%以降、6割台が続く。仕事や療養と、裁判員を両立させる難しさをうかがわせる。

 初公判から判決まで最も長かった日数は、05年12月に日光市(旧今市市)小学1年だった女子児童=当時(7)=が殺害された今市事件の24日間。最も重い量刑は無期懲役だった。死刑や無罪判決はなかった。

 下野新聞社の集計では、判決で下された懲役年数の平均は検察側求刑の約8割で、制度開始前の量刑相場とほぼ変わらなかった。

 東京高裁によると、二審の東京高裁が一審宇都宮地裁の裁判員裁判判決を破棄し判決を言い渡した被告の数は5人(19年2月時点、速報値)だった。

 白鴎大法学部の平山真理(ひらやままり)教授(刑事法)は、出席率の低下の要因に「国民の関心」を挙げる。「守秘義務があることで裁判員の経験がうまく社会に伝わっていない。国民が制度に参加することに意味があると意識してもらえるよう社会全体で考えなければいけない」と指摘した。