あんまりな判決だと思う。19歳の実の娘に性的虐待を続け、準強制性交罪に問われた父親に3月、無罪が言い渡された。名古屋地裁岡崎支部は娘の意に反していたと認めながらも、抵抗不能な状態だったとは言えないと判断した▼他にも性被害の無罪判決が相次ぎ、被害経験者らから疑問の声が上がった。子どもの権利に詳しい弁護士は「木を見て森を見ずの判決」と批判する。検察は控訴した▼一方、インターネットで、弁護士らが「疑わしきは罰せずが原則」などとして、判決を疑問視する言動を逆に非難する騒ぎも起き、波紋は広がる。そんな中、性被害当事者らの団体「Spring」が法相に要望書を出した▼海外のように、同意のない性交を犯罪として処罰できるよう要件の見直しを求めている。現在は抵抗を著しく困難にする「暴行・脅迫」や、抵抗できない状況だったことが要件とされるためだ。最高裁にも裁判官への研修の徹底を求めた▼法律の専門家の解釈が正しいとしても、素人に理不尽だと思える状況が続くのはおかしい。裁判員制度が導入されて10年。素人の感覚が司法に生かされ、性犯罪は量刑が重くなる傾向が続き、法改正により罰則が強化された▼疑問を感じたら「おかしい」と声を上げ続けることが、事態を改善していく。黙ったままでは何も動かない。