旬の果物をたっぷりの生クリームで挟んだフルーツサンドで知られる宇都宮市のパーラー「パレット」。写真共有アプリ「インスタグラム」などを通じて有名になり、県外からの客も多い▼市内に2店を構えるが、元は二荒山神社前の古い共同ビル「宮ビル」の2階にあった。1階の果物店「八百藤(やおとう)」のパーラーだから「8010」で「パレット」。女子高生だった30年あまり前、狭い店に続く急な階段を何度上ったことか▼もう一つの看板メニューがイチゴパフェだ。縁がカールした美しいグラスに載った、真っ赤なイチゴと純白のクリーム。見るたび心が躍った▼宮ビルで生まれ育った跡取り娘の柳田和子(やなぎたかずこ)さん(65)はこの器に惚れ込み、1976年の開店以来、割れては補充を繰り返してきた。ガラス職人が退社して廃番になった後は、頼み込んで復刻してもらった▼宮ビルは22年前、再開発により宇都宮パルコに生まれ変わった。パレットも出店し、栄枯盛衰を共にしてきたが、昨年5月に店を閉じた。パルコも今月末、幕を下ろす▼「うちは果物屋が発祥だから、おいしい果物をたくさん食べてもらおうとやってきた」と和子さん。創業の地から離れても、パレットの伝統の味は変わらない。そして中心市街地の活性化も、永遠のテーマとして変わることなく地方に残り続ける。