全国で高齢運転者による交通事故が相次ぐ中、事故に心を痛めて運転免許証の返納を決意する人もいる。栃木市室町、自営業増渕明美(ますぶちあけみ)さん(71)は4月、東京・池袋で高齢男性の乗用車が暴走し母子2人が亡くなった事故を受け返納した。50年間、無事故だったが「命を奪ってからでは遅い」と、慣れ親しんだ生活の足に別れを告げた。

 最後に手にしていたのはゴールド免許。近所のスーパーや医院などに車で出掛けていた。愛車にはこすり傷一つなかった。約1年半前、県内に住む娘(47)から「70歳になるから車に乗るのはやめて」と言われたが、加齢による衰えを感じたことはなかった。「75歳までは」と断り続けていた。

 心境を変えたのは、4月19日に起きた池袋の事故。高齢男性の運転操作ミスの可能性があり、記者会見で涙をこらえながら再発防止を訴える遺族の夫の姿に、心を揺さぶられた。