アユの種苗生産イメージ

 県水産試験場は23日、全雌(ぜんめす)アユ種苗(子ども)の生産に県内で初めて成功し、養殖生産者向けの出荷が始まったと発表した。全雌アユ種苗の生産には、親となる雌のアユを性転換させる高度な技術が必要となり、技術開発に約3年を要した。成長後は単価の高い子持ちアユとして販売できるため、養殖生産者の収益増につながるなど期待が高い。

 通常、染色体XXからなる雌と染色体XYからなる雄の卵と精子を受精させると、雌(XX)と雄(XY)が1対1の割合で誕生する。

 全雌アユ種苗の生産では、性転換雄(XX)をつくり出し、受精で生まれてくる子どもを全て雌(XX)にする。性転換雄は、遺伝的に雌である個体に雄性ホルモンなどを投与し、機能的に雄にしたもの。滋賀県や岐阜県、愛知県などで既に実施されているが、そのノウハウは多くが公開されていない。

 県水産試験場と県漁業協同組合連合会種苗センターは2016年から技術開発を進め、18年秋に性転換雄を作り出すことに成功した。「詳細は明らかにできない」(県水産試験場)という。性転換雄の精子と雌の卵を受精させ、今季は全雌アユ種苗約60万匹の生産に結びつけた。

 23日は、約1・65グラムに成長した約30万匹が、さくら市内の民間養殖業者に出荷された。残りも順次出荷され、成長させて食用として販売される予定という。販売はアユが卵を抱える秋ごろになる見込み。

 県水産試験場によると、冷凍アユの1キログラム当たり販売価格は通常2500円なのに対し、子持ちアユは3400円に跳ね上がる。久保田仁志(くぼたひとし)水産研究部長は「全雌アユ種苗の生産技術を効率化させ、水産業の発展やアユの消費拡大につなげたい」と語った。