登山に訪れた皇太子、皇太子妃時代の新天皇、皇后両陛下。右端が案内した大高さん(大高さん提供)

 新天皇陛下が1日即位され、令和が幕を開けた。登山好きとして知られる新陛下は皇太子時代に来県した際、那須連山に幾度も登り、雄大な自然を堪能してきた。その案内役を多く務めた前那須山岳救助隊長の那須町湯本、旅館経営大高登(おおたかのぼる)さん(90)は「これまで以上に忙しい身になられるが、お暇ができれば、那須岳に登りたい気持ちになられるのでは」と新陛下の胸の内に思いをはせている。

 大高さんは幼い頃から旅館の客と那須連山を登り、20代から遭難者の救助に携わるなど現地の登山の第一人者として長年活躍。この経験から宮内庁や県に請われ、1992年から10回ほど新陛下やご一家の登山を案内した。

 92年は、峠の茶屋から三本槍岳の山頂を往復。新陛下は自身の荷物をザックで背負い、道端の植物や景色をコンパクトカメラで撮影するなど手慣れた様子だったという。

 忘れられないエピソードの一つが、この時の昼食。立派な折り箱を広げる侍従などに遠慮し、大高さんは新陛下からやや離れておにぎりを食べていた。すると、新陛下もザックからアルミホイルに包んだおにぎりと水筒を取り出した。「なかなか質素なのだな」と、ほっとさせられたという。後に、そのおにぎりは上皇后となった前皇后美智子さまが握られたと知り「やはり親はわが子がかわいいのだな」とほほ笑ましさも覚えた。

 新陛下は皇太子妃時代の新皇后雅子さまや、小学生だった愛子さまを含めたご一家でも登山に訪れ、大高さんは常に近くで安全に気を配ってきた。雨が降り、傘を勧めてくださった新皇后さま。学友との登山で生き生きとした表情を見せた愛子さま。自身のペースで進む新陛下を失礼なく足止めするため、それとなく植物の説明をしたことなど、思い出は尽きない。

 那須御用邸にも何度か招かれ、新陛下と面会した。新陛下は、地域の歴史にも関心が高かったという。

 高齢のため2010年を最後に、案内役を後進に譲った大高さん。「(新陛下は)那須のほとんどの山に登られたのではないか」と振り返り「お役目に慣れてきたら、また地元の住民とお話されるようになっていただければ。どうかお体だけにはお気を付けてほしい」と話した。