文化シヤッターが開発した「止めピタ」。豪雨による急な増水対策としての需要を見込む=12日、小山市上石塚

 0・2ミリの薄さのポリ塩化ビニール製シートが水圧で密着し、水の浸入を防ぐ。取り付け時間はわずか5分だ。

 「何しろ『簡単』『スピード設置』が一番の売りですから」。小山市上石塚にある文化シヤッターのライフイン環境防災研究所。同社開発一部の廣瀬誠(ひろせまこと)課長(47)が、販売している簡易型止水シート「止めピタ」を手早く設置してみせた。

 店舗や工場、倉庫のシャッターや自動ドアなどの下部に張り、隙間をふさぐ。50センチの高さまで水から守ることができ、同社の実験で止水性能は積み上げた土のうの10倍。1セットの重さは5キロから最大でも土のう1個分の20キロほどという。

 止水を本格的に事業化したのは12年。廣瀬課長は「短時間豪雨やゲリラ豪雨、街中の急な増水が社会問題化していた」と振り返る。それまでシャッターに関連する防災は主に「火」だったが、気候変動による「水」の視点を加え、土のうに代わる技術を突き詰めた。

 その後、店舗の出入り口に金具で固定するだけで設置できる止水板も開発し、止めピタに続いて特許を取得した。廣瀬課長は「気候変動で今後さらに『水を防ぎたい』という要望は大きくなっていく」とみる。

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 雨水を地中に染み込ませる技術の需要も高まっている。

 宇都宮市に製造拠点がある浸透コンクリート製品製造販売の「コクカコーポレーション」(東京都千代田区)。通常のコンクリートと違って、骨材と骨材の間に隙間があるため水を通すことができる浸透コンクリートを用いた排水溝やマンホール、雨水浸透升などを手掛けている。

 スポーツ施設での排水対策の需要は多く、2020年の東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場や県総合スポーツゾーンのサッカー・ラグビー場(宇都宮市西川田4丁目)でも、同社の製品が利用されているという。

 さらに近年はゲリラ豪雨などによる冠水対策の必要性が高まっている。同社の大橋伸有(おおはしのぶなお)常務(41)は「昔に比べると、道路や河川、建築物の敷地内の雨水処理対策向けの需要も多くなってきている」と話す。

 最近では土壌の質と浸透性を適合させた新製品も開発した。「浸透コンクリートの市場は今後も伸びていく」と大橋常務は見込む。

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 「気候変動適応への取り組みをチャンスに変える」

 昨年12月の気候変動適応法の施行を受け、環境省は3月、民間企業の取り組みを推進するガイドを公表した。その中には、適応に役立つ製品やサービスを提供する「適応ビジネス」の視点も盛り込まれている。

 担当者は「適応に資する技術を扱っていながら、企業側がその強みに気付いていないこともある。国としても『気付き』を促していきたい」と市場拡大に期待を寄せる。