栃木青年会議所が主催した防災イベントで「マイ・タイムライン」について学ぶ子どもたち=21日午後、栃木中央小体育館

 21日午後、栃木市の栃木中央小体育館で、子どもたちが頭を突き合わせて考えていた。

 「安全な場所に移動する前にすることは何かなあ」

 栃木青年会議所が開いた親子向けの防災イベント。茨城県出身のお笑い芸人で防災士の資格を持つ赤プルさんを講師に、小中学生約80人が水害時の行動計画「マイ・タイムライン」作りに取り組んだ。

 「水と食べ物を用意する」「ゲームを2階に置く」。水害に備えて、さまざまな意見が出た。

 参加した同市岩舟小6年中新井涼夏(なかあらいすずか)さん(11)は「避難所に持っていく物、天気の調べ方などいろんな事が分かって良かった」と感想を話した。

 災害の発生を前提に、防災関係機関が取るべき行動をあらかじめ決めておく防災行動計画「タイムライン」。米国でハリケーンの被害軽減に実績があり、ここ数年で本県も含め全国の自治体で導入が進んでいる。この考え方を個人に落とし込んだのがマイ・タイムラインだ。

 2015年9月の関東・東北豪雨で、茨城県常総市を流れる鬼怒川の堤防が決壊。約4300人が逃げ遅れ、救助された。これを教訓に、国や茨城、栃木両県の鬼怒川、小貝川流域自治体などでつくる減災対策協議会が考案した。

 台風の接近などで大雨が予想される3日程度前から、天気予報の確認や非常時に持ち出す物の準備、避難開始など、いつ何をするのかを時系列で整理する。作成の過程で、自宅の浸水リスクや避難のタイミング、避難する場所の確認などをするため、災害時の判断を助ける目的もある。

 協議会は2年ほど前から、流域自治体などで作成講座を開催。漫画などを多用して分かりやすく検討できる教材「逃げキッド」なども作って活用し、子ども向けの防災教育にも力を入れる。これまでに延べ約1万人がマイ・タイムラインを作成したという。

 さらに裾野を広げようと、協議会は18年度から作成を支援する「リーダー認定制度」をスタートさせた。下野市役所で1月24日に開かれたリーダー認定講座では、同市内の自主防災組織の代表者や防災に関心のある市民約20人が水害時の備えに関して考え、防災意識を高めた。

 講座に参加した同市の栄町代表自治会長の下蔵勝治(しもくらかつじ)さん(74)は、マイ・タイムラインについて「日頃の注意喚起を促すという意味で重要」と受け止め「自主防災会の活動としても作成を組み込んでいきたい」と話す。

 「洪水、水害は地震と違って事前に準備ができる」と、国土交通省下館河川事務所の柳沢亘(やなぎさわわたる)副所長は指摘する。気候変動による豪雨被害の増加が見込まれる中、事前の備えで「逃げ遅れゼロ」を目指すマイ・タイムラインの考え方は、ますます重要になっていく。