出版不況と言われて久しい。手軽に利用できるインターネットの隆盛が背景にあり、その傾向はますます強まっていくだろう。中でも雑誌離れが深刻だという▼そんな業界にあって「北関東の奇跡」と呼ばれる雑誌が本県にある。宇都宮市に本社を構える新朝プレスが、月刊で発行するタウン情報誌「もんみや」である。1977年9月に創刊し、この4月で通巻500号を迎えた▼王選手がホームラン世界記録756号を達成した年に産声を上げたもんみや。その名の由来は、フランス語で「私の」を意味するモンと宇都宮のみやを組み合わせた造語だそうだ。当初はターゲットを宇都宮に据えたが、今は県内全域を対象とする▼記念の500号は、人気のグルメ特集で過去8年間に取り上げた中から厳選した「栃木うまいもん500」を掲載。肉料理にイタリアン、ラーメン…とどれを見ても生唾が出そうな逸品ぞろいである。発行部数は4万3千部を数える。人気があるのもうなずける▼入社15年の花塚理恵(はなつかりえ)編集長(37)は、街にあふれる価値ある情報を読者に届けるとの使命感で雑誌作りに取り組んでいるという。「栃木にもんみやがあってよかった、と。そんなふうに思われたら」▼ネットでは伝え切れないぬくもり感がそこにはある。「奇跡」ではなく「当然」と言い換えようか。