周囲の人ができる配慮

小渕千絵准教授

周囲の人ができる配慮 小渕千絵准教授

 聴力は正常なのに聞き間違えが多い、雑音の中で聞き取れない-。そのような症状に覚えがある人は、聴覚情報処理障害(APD)かもしれない。近年、APDが知られるようになり、大人が受診するケースが増えている。国際医療福祉大保健医療学部言語聴覚学科の小渕千絵(おぶちちえ)准教授は「見えない障害で理解されにくく、生活に影響が出ることも多い。本人の自覚と周囲の理解が求められる」と話している。

 小渕准教授によると、APDは何らかの中枢神経システムの障害で認知的能力のバランスが悪くなることが原因と考えられている。「聞く」行動には、話に注意を向けながら内容を理解しつつ次の話にも注意を向けるといったさまざまな認知的能力が必要だが、注意力や記憶力などに弱さが一つでもあると「聞き取れない」「分からない」となる。聴力に問題はないため、聴力検査をしても「異常なし」。海外の調査では、子どもの2~3%にAPDがあるという結果も出ている。

 APDは、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害の症状としても生じうる。発達障害ではないものの「おっちょこちょい」と言われるような注意力が弱い人でも症状がみられることがある。こうした特性は変えられないが、ラジオなどで聞くトレーニングをしたり、メモや確認を取るなどの心掛けで対処することはできるという。