昨年の夏、富士山に登った時のことだ。九合目を過ぎ、私は一緒だった友人や家族から大きく遅れ、足元の小石を見つめながら、1人で歩を進めていた。

 私を追い越しながら「あと少しですよ」と声を掛けてくれた若い女性がいた。「山は、よく登るんですか?」と息も絶え絶えに尋ねると、「御朱印をもらいに、あちこちの山を巡っています」との答え。そして「頂上でもらったらいいですよ」と勧められた。

 登頂以外の目標ができたような、背中を押されたような気がした。

 頂上にある奥宮で、限定という御朱印帳を求め、御朱印を頂いた。「霊峯登拝」などと刻まれた印の朱色、墨書された日付。「そっか、登ったんだ…」という思いが込み上げた。今でも見返すと、記憶がよみがえる。

 社内の会議で「御朱印」の企画を提案したのは、こんな個人的な体験も理由の一つだった。4月から地域面でスタートした新企画では、県内の社寺の御朱印を紹介している。楽しんでいただければ幸いだ。