桜に感謝を込め花見を楽しむスタッフら

 【宇都宮】30年余り患者らの心を癒やしてきた県立がんセンター北東の桜が市道拡幅に伴い近く伐採されることになり、センタースタッフらが6日、花見会を開いた。かれんな満開の花を楽しみながら、名残を惜しむとともに、感謝の言葉を口にした。

 建物の東を通る市道沿いの桜の木は、センターオープン時には既にあったとされ、センターの窓からも見える。6日の花見会では、スタッフら約30人が咲き誇る桜7本の下に集まり、思い出話に花を咲かせた。

 呼吸器内科が専門の神山由香理(かみやまゆかり)医師(54)は、多くの患者を見送ってきた。余命について「あと、どれくらいですか」と尋ねられ「桜は見られそう」などと答えたことも少なくない。この桜を目に焼き付けて逝った人もいる。

 ふさぎ込んだ患者がベッドのまま桜の木の下まで移動し、状態が良くなって会話が弾むようになったことも。「他の木だと、そうはならない。不思議」と名残惜しそうに話した。

 オープン当時から勤める看護部副部長の永井智恵美(ながいちえみ)さん(55)にとって「桜のある記憶」は数知れない。

 仕事で辛いことがあった時、担当患者が亡くなった時…。「桜は何を言うわけではないけど、その時々に応じて『大丈夫だよ』『頑張らなきゃだめだよ』と見守ってくれた」と振り返る。

 「この花を見られなくなるのは残念」と言いつつも「感謝です」と言葉をつないだ。

 市によると、伐採は花が終わった来週以降になるという。