寒の戻りで固く花びらを閉ざしていた県内の桜も、ここにきてようやく見頃になってきた。多くの人が心弾ませるこの季節。きょう5日はほとんどの公立高校で入学式が行われる。初登校を待っていたかのように咲き出した桜の花々が、新入生を優しく迎え入れてくれるだろう▼美しい庭園で知られる宇都宮中央女子高は、「桜の園」の顔も持つ。校庭の隅々に70種約100本が点在する。荒れ放題だった旧陸軍施設跡地に校舎が移転し、緑化に努めた当時の校長に続き、教諭として赴任した高松祐一(たかまつゆういち)さん(81)が1970年ごろから桜を植えてきた▼計14年間在籍し、最後は校長を務めた。手塩にかけて育てた桜は3月から5月上旬まで、途切れることなく花を咲かせる▼中には花びらが緑色の「御衣黄(ぎょいこう)」や、宇都宮の幹線道路「桜通り」を彩った「軍道の桜」と同時期のものとみられるソメイヨシノもある▼樹齢が100年ほどになる大木だ。桜は弱いと言われるが、道路から離れ排ガスなどの影響が少ない穏やかな校庭で、今なお生徒の心を和ませる▼創立91年の伝統校である宇都宮中央女子高も3年後には男女共学化する。今後、校舎だけではなく校庭も改修が必要となるだろう。それでも桜は残したい。関係者の思いがこもった満開の桜を、男子生徒がめでることができるように。