車には走行速度があるレベルに達すると、それ以上に加速しないようエンジンを制御する「スピードリミッター」が装備されている▼これがなければ必要以上の速さになり、人間の能力では操作が追いつかない。エンジンやフレームなどに想定を超えた負荷もかかり、大事故につながる恐れもある。そんなリミッターを外したかのような2019年度予算が成立した▼第2次安倍政権の発足直後に編成された13年度予算から過去最大の更新を7年繰り返し、とうとう一般会計総額で100兆円を超えた。数的な評価軸であるボーダーラインは、桁の変わり目がイメージしやすい▼財政再建が叫ばれる中で公的予算は、公共事業の受注者など一部を除き、圧縮型が好まれる。特に今回のように兆の単位が2桁から3桁になればマイナスイメージになるので、リミッターが作動するかと思ったがあっさり大台を超えた▼社会保障費の増大は高齢化の進展を考えれば致し方ない。他方、増え続ける防衛費はどうだろうか。高い買い物を強いられてはいないか。価格交渉の余地はなかったのか。そもそもそれは本当に必要なのか。予算審議では疑念が残った▼車と同様、財政もリミッターを外して身の程を見失った膨張を続ければ、大事故を招き社会が混乱するのではないか。そんな危惧が拭えない。