数学最高の栄誉とされるフィールズ賞を1954年に日本人で初めて受賞した小平邦彦(こだいら・くにひこ)さん(15~97年)を記念する日本数学会賞小平邦彦賞が創設され、初の受賞者に森重文(もり・しげふみ)・京都大高等研究院長ら4人が選ばれた▼小平賞はフィールズ賞同様4年に1度で、副賞は200万円と日本数学会の賞の中で最も高い。何より素晴らしいのは、数学好きだった一般の方の遺贈を基につくられたことだ▼日本には「寄付文化」がないとされる。だが、社会への贈り物を残す人がいないわけではない。原因不明の川崎病の研究に使ってほしいと、全財産の約1億7千万円を寄付した女性もいる▼文化にならないのは、尊い気持ちを支える仕組みに乏しいためだろう。先頃開かれた応用物理学会では、ある国立大で企業から寄付を募ったところ、寄付した企業が軒並み税務署の調査を受けたとの報告があった。「税金の控除があるので、共同研究先でもない大学に寄付した場合、税務署は厳しく当たる」という▼米国の大学教授でもある村山斉(むらやま・ひとし)・東京大教授によると、米国では資産の1割を寄付すると、10年間税金を納めなくてもいいそうだ▼国立大の経営に財務省が口を挟むようになって久しい。注文の一つは「自ら稼げ」だが、ならば寄付を集めやすい仕組みづくりに、自ら汗をかいてみてはどうか。