昭和の初めは、企業の採用選考が卒業後だったと聞く。定年を迎えるアラ還世代は4年時の10月が解禁だった。大学新卒採用のルールは時代ごとの経済情勢などにより、変遷をたどってきた▼来年卒業者の就職活動が解禁され1カ月。数年来の売り手市場が続く中で、いまひとつ盛り上がりが感じられない▼3月中に2回、宇都宮市内で開かれた小社主催の合同企業説明会。参加学生は計338人にとどまった。同様の日程の開催で、1千人近くいた4年前と比べ隔世の感がある▼IT企業を中心とした通年採用やインターンシップ増加などにより、既に選考、内定が進んでいるという。その影響もあるのだろう。実際、23日の説明会に参加した学生への調査では、「企業の試験・面接を受けた」の回答は2割に上った▼「ルールを守っていたら採用なんてできない」。地場の有力企業の採用担当者が苦しい胸の内を明かした。面接解禁は守るが、試験は前倒し。最初の内々定を4月末には出す。だが「歩留まりが悪いんですよ」と嘆く。内定辞退を防ぐための家庭訪問など苦労は尽きない▼今後、就活ルールは政府が主導する。2022年卒はまだ確定していないが、ルール破りが避けられないことは歴史が物語る。だがどうなるにしても、学生にとっての最良の選択を忘れてはいけない。