韓国で女性1人が生涯に産む子供の数に当たる合計特殊出生率が2018年に0・98と、初めて1を割り込んだというニュースがあった。日本の1・43(17年)をも下回り、世界最低水準という▼韓国でミリオンセラーになった小説「82年生まれ、キム・ジヨン」(チョ・ナムジュ著)の日本語版がよく売れている。幼少期から進学、就職、結婚、妊娠・退職と、ごく普通の韓国人女性が遭遇する困難が、主人公のキム・ジヨンの告白を通じて克明に描かれる▼彼女の母や祖母の人生も浮き彫りにされ、女性差別の実態が活写されている。取引先からのセクハラ、夫の姓を選ばざるを得ない社会事情、性被害に遭っても“落ち度”を非難される…。▼女であるただそのことだけで、女性はどれほどの差別や屈辱を味わわねばならないのか。ジヨンが語るのは、日本人女性の琴線を揺さぶるエピソードばかりだ▼社会の成り立ちは違っても、日本と韓国は実によく似ている。強弱の差はあれ儒教を取り入れているので、男性優位の家父長制を文化の基礎にしている▼男女間の格差・差別解消に真剣に取り組まなかった国々が出生率を好転させられずにいる。女性差別のしっぺ返しが少子化だ。日本も韓国も、共通の弱点である女性問題の解決に本腰を入れ、少子化に立ち向かうときではないのか。