「『きらら』が死んでしまいました」。一報が入ったのは、県が保護せずに見守る方針を決めたと執筆した記事が下野新聞に掲載された2月17日の朝だった。

 千葉県野田市が放鳥した国の特別天然記念物コウノトリの雌。栃木市内で1月中旬、送電線に衝突したとみられ左脚をけがしたが、飛ぶことができ自力で餌も取っていた。

 耳を疑った。電話の相手は「コウノトリ見守り隊」の石川宜延(いしかわのりのぶ)さん(71)=栃木市在住。前日夕も様子を見に行き、「元気でした」と話していた。

 保護すべきだったのか。県県南環境森林事務所の桑名満(くわなみつる)所長(59)は「放鳥事業は野生に戻すのが目的。安易に保護すれば、それを否定することになってしまう」と話す。

 野田市によると、死因は衰弱とみられる。同市のコウノトリ放鳥事業のパンフレットにはこう書いてある。「他の野生動物と同様、死亡することもあります。驚かないでください」

 今回は驚いたけれど、野生復帰という深い意味を考えるきっかけになった。