建設中の町新庁舎の前で町の未来像を語る志賀さん(中央)や鈴木さん(右)たち=2月7日午後、福島県大熊町

 復興を支え続け 行政マン卒業へ 大熊町「じじい部隊」

 福島第1原発が立地する福島県大熊町の元総務課長で町臨時職員の鈴木久友(すずきひさとも)さん(66)はこの春、行政マンを卒業する。原発事故後に役場機能が町外に移転、定年退職後に町内へ戻り6年間働いた。4月に新庁舎の開庁が決まり、信頼する後輩に復興への思いを託す。

 同町は全域が警戒区域となり、原発事故後に全町民約1万1500人が町外に避難した。警戒区域が解除された後、鈴木さんは2013年3月に定年。筆頭課長としての経験を生かして引き続き町の中枢で働く選択肢もあったが、「後進に道を譲りたい」と放射線量の高い町内の現地連絡事務所での勤務を選んだ。

 事務所では、役場時代の同僚や消防職員ら気心の知れた仲間6人で自称「じじい部隊」を結成。農業用水路の管理や一時帰宅者への対応などを担った。事務所に近い、太平洋を臨める坂下ダム湖の周りに植えられた500本のサクラの木も枯らさず、町の名所を守った。

 鈴木さんたちじじい部隊の4人、町復興事業課長志賀秀陽(しがしゅうよう)さん(59)と、新しい町庁舎の工事現場に足を運んだ。周辺では公営住宅や福祉施設などの建設が急ピッチで進む。

 「大きくて立派な役場。役場に負けない仕事をしてほしい」

 こう語る鈴木さんの横で、後輩の志賀さんが笑顔でうなずいた。じじい部隊は3月末で解散するが、町への思いは受け継がれる。