アカデミー作品賞を射止めた映画「グリーンブック」を見た。1960年代初頭の米国南部を主舞台に、黒人天才ピアニストと白人運転手との心の交流を描いたロードムービーである▼随所に黒人への差別と暴力の場面が出てくる。だが往時の異国の愚かな政策と、鼻で笑うことはできない。ヘイトスピーチなど人種差別は現代日本でも横行する。社会の隅々に多様な差別がはびこっている▼内閣府が都道府県庁の女性管理職の登用に関する調査結果を公表した。女性の採用自体は増えているのに、課長級以上は全国平均で9・7%に過ぎない。本県はさらに遅れ、6・8%しかいない。これも広い意味での差別の一つだろう▼男女共同参画を推進する県の担当者は「幹部候補は育成しているが、登用数を増やすよう全力で取り組む必要がある」と話す。男女間で能力の差があるとは思えない。政府が掲げる「2020年で3割」との目標がむなしく響く▼昨年5月に成立した「政治分野の男女共同参画推進法」。だが自民、公明両党は夏の参院選に向けた女性候補者擁立の数値目標設定を見送るという▼政治や行政が男女参画の旗振り役をしっかり担わなければ、女性の視点は政策に反映されにくいままだ。平塚(ひらつか)らいてうの言葉「元始女性は太陽だった」を、今の世になっても再認識したい。