厚生労働省の毎月勤労統計は、2004年に調査方法を変更した際、それを反映するプログラム改修がなぜか行われなかった。このため、雇用保険などで延べ2千万人以上に計約800億円の過少支給が生じた▼国会論戦の焦点となっている不正の隠蔽(いんぺい)や官邸の介入などの疑惑解明はもちろん重要だが、プログラムのずさんな管理がまかり通っていたことも由々しい問題だ▼特別監察委員会の報告書は、プログラムの管理体制をこう説明する。「システム担当係は自前で改修を行うが、プログラム言語はCOBOLであり、扱える者は1人または2人にすぎなかった」▼COBOLは60年前に米国で開発された初期のプログラム言語で近年は出番が減ったが、なお多くのシステムを支えている。問題は言語ではなく、事実上1人に改修を任せていた体制にある▼監察委の報告書は、システム担当者に改修を依頼するのを忘れたのか、担当者が改修を怠ったのかさえ分からないとしている。問題の核心が未解明なのだ▼コンピューターを使うことは「読み書きそろばん」に当たる必須の素養となっており、20年度には小学校でプログラミング教育が必修化される。そうした時代に、厚労省で明るみに出たお粗末なプログラム管理は格好の反面教師となる。原因を徹底究明して教訓とすべきだ。