先日、米国で開催されたサッカー女子4カ国代表国際親善大会に臨んだ「なでしこジャパン」。6月開幕のワールドカップも見据えて事前合宿を行ったのは、営業再開間もない福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」だった▼8年前の東日本大震災以降、フル代表がJヴィレッジに戻るのは男女を通じて初めてという。「ピッチに戻れたうれしさと、自分がいたチームがなくなったさみしさがこみ上げました」。震災前、この施設を本拠地とするチームに所属していた宇都宮市出身の鮫島彩(さめしまあや)選手のコメントである▼施設があるのは、未曽有の事故が起きた東電福島第1原発から20キロの地点。事故後は芝生のピッチに砂利やアスファルトが敷かれ、「サッカーの聖地」は事故収拾の拠点に姿を替えた▼昨年10月、この施設や周辺を視察する機会があった。目の前には青々としたピッチが広がり、全天候型のドームも新たにお目見えしていた▼「ここではドローンの研修なども予定しています」と担当者。事故に伴う風評を払拭(ふっしょく)するためにも、施設が持つさまざまな可能性を発信したいという▼来年に迫った東京五輪の聖火リレーは、この地を出発点とする方向で関係機関が最終調整を進めているとされる。9年目の福島の姿が広く知られることが、「復興五輪」の成功にもつながるはずだ。