転倒予防に役立つ筋力トレーニング

 交通事故死の約2倍ともいわれる転倒死。大半は65歳以上だが、厚生労働省の統計によると30~64歳でも年間約800人が転倒などで命を失っている。身体機能の低下は20歳ごろから始まるため、「まだ若いから大丈夫」といった油断や過信は禁物だ。国際医療福祉大理学療法学科講師で転倒予防指導士の小林薰(こばやしかおる)さん(理学療法士)は「食事や運動で、早いうちから筋肉や骨などの機能を維持することが大切」と話す。

 ガクッ。隣を歩く同僚の顔が突然、視界から消えた。崩れ落ちる記者。道路の小さな段差を踏ん張れなかったのだ。40代の若さでこんなに派手に転ぶなんて…。膝を打ち、できたあざはしばらく消えなかった。

 「20歳をピークに、筋力やバランス機能はゆっくりと確実に落ちていく。自覚するのは50代以降だが、30、40代でも十分に転倒のリスクはある」と小林さん。記者の転倒は偶然ではなく、必然だったようだ。

■命に関わる

 転倒は「高齢者の4大骨折」といわれる手首、肩、太ももの付け根、背骨の骨折のほか、頭部外傷など重大な障害を招き、命に関わることもある。

 同省が公表した2017年の人口動態統計。不慮の事故による死亡者数のうち、「転倒や転落」は9673人で、交通事故5千4人の約2倍に上った。年齢別に見ると、65歳以上が9割を占めるが、30~44歳が158人、45~64歳になると629人と4倍に増え、中年期からリスクが高まっていることが分かる。