3月と言えば卒業式。ほどなく大学や短大、専門学校を出た若者が社会に飛び立つ。UIJターンで県内に活躍の場を求める卒業生も多いだろう。共に本県を盛り上げてくれる新しい仲間を歓迎したい▼先頃、少ない水でも育つ小麦の開発に世界で初めて成功したことを発表した国際共同研究チーム。中心となった宇都宮大バイオサイエンス教育センターの岡本昌憲(おかもとまさのり)助教(41)も、回り道こそしたがUターン組だ▼旧黒磯市(現那須塩原市)で生まれ、黒磯高から都立大(現首都大学東京)へ。卒業後は理化学研究所、米カリフォルニア大、鳥取大などで、植物の成長やストレスに関する分子レベルの研究を続け2017年、宇都宮大に入った▼16、17年には米社から、論文引用頻度が高い世界の著者の一人として選ばれた。その世界レベルの研究者が宇都宮大に来たのは、「日本の学生も頑張ってもらいたい。どうせなら生まれ育った地元で」と思ったからだ▼麦と言えば本県は、ビール麦生産が日本一で、小山市特産のハトムギもある。新型小麦の技術の応用は可能だそうだ。研究の広がりに期待が掛かる▼実家は農家で、将来的には農業に就くことも考えている。「いろんなものを作れる。異なる種類の掛け合わせも楽しそう」。農家と研究者の顔を持つ二刀流の活躍を見てみたい。