舌の縁の下側にできた口腔がん(矢印の場所)

舌がんの症状を説明する川又教授。舌の縁が白っぽく変化している=獨協医大

舌の縁の下側にできた口腔がん(矢印の場所) 舌がんの症状を説明する川又教授。舌の縁が白っぽく変化している=獨協医大

 タレント堀(ほり)ちえみさんが先月、闘病を明かした「口腔(こうくう)がん」。県内でも医療機関への問い合わせが増えるなど、関心が高まっている。早期は自覚症状がほとんどなく、口内炎との鑑別が難しいとされるが、獨協医大口腔外科の川又均(かわまたひとし)教授は「口内炎に似た症状が2週間以上続いたり、口の粘膜に拭っても取れないような白い部分がある場合は専門医に受診を」と訴える。

 「口に異常がないか、診てもらえますか」「この口内炎、大丈夫でしょうか」

 堀さんが口腔がんであることを公表した先月19日以降、小山市三拝川岸の「てつか歯科医院」にはこうした相談が相次ぎ、多い日は受診者の7割近くに上った。小山歯科医師会長を務める手束公一(てつかまさかず)院長は「報道を受けて気になった人も多いようだ。関心が高まれば早期発見にもつながる」と話す。

 川又教授によると、歯科医院から紹介された患者らの診断を行っている獨協医大病院では、堀さんの公表から1週間で2人を「口腔がん」と診断した。

 国内の口腔がん発症者は年間約8千人で、全がんに占める割合は1~2%。発症部位は舌が約半数を占め、歯肉、頬、口の底と続く。舌の場合、ほとんどが縁の下側にできる。60代以上が多いが、10、20代でも発症例がある。

 「最も大きな原因はたばこ。1日5~10本以上を30年以上吸った人は、リスクが4・17倍との研究報告もある」と川又教授。飲酒や進行した歯周病もリスクを高める。虫歯でとがった歯、飛び出している歯、合わない入れ歯などで舌や歯肉がこすれて炎症を起こした所に発生しやすいという。

 最近では、口腔がんの15%が、子宮頸(けい)がんの原因で知られる「ヒト乳頭腫ウイルス」の感染によるものであることも分かっている。

 川又教授は、(1)粘膜に白または赤い部分がないか(2)押してみて、しこりはないか(3)こぶ状に盛り上がっていないか-の三つを自己診断のポイントに挙げる。初期の口腔がんは粘膜が白くなったりただれて赤くなったりしやすく、口内炎であれば硬くなることはないためだ。

 新たな免疫治療が適用できるようになり、他の部位の骨や皮膚、筋肉、脂肪を用いて再建する方法も開発され、大きな障害が残ることは少なくなったという口腔がん。しかし、早期発見・早期治療は重要で、川又教授は「かかりつけの歯科医で、歯を含めた口腔内のチェックを定期的に受けてほしい」と呼び掛けている。

栃木県歯科医師会6月に無料検診 健康フェスタで

 県歯科医師会(宮下均(みやしたひとし)会長)は、とちぎ歯の健康センター(宇都宮市一の沢2丁目)を会場に6月開催予定の「とちぎ歯の健康フェスタ2019」で無料の口腔(こうくう)がん検診を行う方針を決めた。

 同会は2010年度~15年度にも同検診に取り組み、6年間で500人以上の口内健康をチェックした。

 近年の口腔がんに対する関心の高まりを受けて4年ぶりの実施となる。同会は「口腔がんの早期発見、早期治療につなげたい」と積極的な受診を呼び掛ける。