きょう3日は中国伝来の五節句の一つ「上巳(じょうし)」に当たる。水上に杯を流して災いを払った中国の風習が、平安時代の宮中の行事、曲水の宴につながり、ひな遊びに結び付いていったという。ひな祭りは元来、厄よけに源流があった▼〈ふだん着でふだんの心桃の花〉(細見綾子(ほそみあやこ))。旧暦の3月、今の4月頃に文字通り、桃色の花を一斉に咲かせることから桃の節句ともいう。中国では古来、桃は魔をよける力を秘めているとされた▼県内で桃の産地と言えば佐野市。露地栽培の果樹園が約8ヘクタールに及び、6月から8月にかけ甘い実を付ける▼佐野はひな人形の産地としても知られる。今も8軒の店が製造販売を手掛ける。江戸に近く織物産業が栄えていたことから、盛んになったとの説がある。この地は二重の意味でひな祭りの里と呼ぶことができようか▼「ものぐさ(怠け者)の節句ばたらき」という俗言が本県にはあったと、県立博物館の篠崎茂雄(しのざきしげお)学芸員が教えてくれた。「農作業が本格化する季節の変わり目はしっかり休んで英気を養う、という意味が込められていました」。草餅をよく食するのはヨモギが邪気を払うからだそうだ▼近年、心が痛むニュースが相次ぐ。児童虐待である。ひな祭りの原点に立ち返り、子どもへの厄よけとなるよう社会全体で虐待撲滅を考える日ともしたい。