【よるのみや】「どこにもない」逸品を 相馬龍

【よるのみや】「どこにもない」逸品を 相馬龍

 「とにかくうまいものがあるんだよ」。先輩の言葉に、いそいそとのれんをくぐった。

 相馬龍久(そうまたつひさ)さん(65)がにこやかに出してくれたのは「珍味4点盛り」(税込み1600円)だ。

 鮭(さけ)の鼻の軟骨を使った「氷頭なます」は、さっぱりした風味に小気味よい歯応えが特徴。酢でさっと洗った「アジの笹(ささ)漬け」と「鮭大根」は臭みが抑えられ、口中に素材のうまみがじんわり広がる。あぁ、これは日本酒だろうな。

 信条は「『どこにもない』がここにある」。聞けばかつては東京・銀座の小料理屋の板場に立っていたとか。となれば、独創性豊かなお品書きも道理。近所で切り出す竹を使い、自ら作った銚子(ちょうし)とちょこで日本酒を薦めるのも相馬さん一流のもてなしなのだ。

 相馬さんとの会話を楽しむうち、竹の香りに鼻をくすぐられた。おぉ、これがうわさの「竹焼きめし」(2人前、同800円)か!

 竹の節に詰められた白飯と紅色の鮭の身。柔らかな湯気とともに、竹の香ばしさと笹の香りが食欲を刺激する。思わず、たっぷりの鮭をほぐしながら、竹に張り付いた飯をはがしてかき込んだ。

 ありそうでちょっとない逸品の数々。一度知ると、また足が向くこと請け合いですぞ。