【麺ロード】日光軒(佐野)

【麺ロード】日光軒(佐野)

 言わずと知れた佐野ラーメンの老舗「日光軒」。店主の五箇大也(ごかだいなり)さん(46)は「このラーメンは預かり物だから」と目を細める。

 1948年創業。祖父の代から数えて3代目になる。父の代は洋食店、店を継いだ26歳当初はカフェ。食べて育った味を継ぐことに重圧を感じ、ラーメンから逃げていた。しかし“DNA”が「やらなきゃ」と叫んでいた。「あの味」を求めて試行錯誤したが失敗の連続。ついに祖父の代のチーフ、故飯塚重治(いいづかしげはる)さんに頭を下げに行った。

 「一緒にやろう」。飯塚さんは他店からの誘いを断り、復活を待っていてくれた。研究を続けていたある日、飯塚さんは試作品を口にして「お金を払う」と言い張った。味がよみがえったのを見届け、旅立っていった。

 39歳の時、ラーメン屋の看板を掲げた。手打ち佐野ラーメン(税込み630円)は、自家製青竹手打ち麺が澄んだスープとよく絡む。煮干しの香りがふんわりと広がる昔ながらの逸品だ。伝統のレシピで作る焼餃子(ぎょーざ)(5個・420円)も人気が高い。

 数十年ぶりに来店したという夫婦が「初めてのデートで来た」と思い出を語ってくれたこともある。「新しいお客さんにも思い出の場所になれば」と願う。さまざまな思いが詰まった味と空間で、温かく客を迎えている。

 ◆メモ 佐野市若松町138。午前11時半~午後2時15分、同5時半~8時。麺・スープがなくなり次第閉店。木曜定休。(問)0283・22・7832。