——100ヘクタールを「みんなで守る」集落営農のいま——福井県あわら市・中浜地区/2026年5月
福井県あわら市の中浜(なかのはま)地区で集落営農を営む農事組合法人「イーノなかのはま100」が、平成18年(2006年)10月の設立から、2026年10月で20周年を迎えます。
集落の66軒が集落営農に参加し、地区の約100ヘクタールにおよぶ水田を共同で経営。気候変動に対応するための4品種リレー栽培、機械の共同利用、後継者不足を見据えた専従雇用の検討など、地域で農地と暮らしを守る取り組みを20年にわたり続けています。
5月初旬、田植えの最盛期を迎えた現場を取材しました。
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◆「いいの」と「いい農業」をかけた、あたたかい法人名
「イーノなかのはま100」という名前には、いくつもの想いが込められています。
「いいのは、福井の方言で『いいねぇ』『うらやましいねぇ』という意味。それと『いい農業』をかけて、『いいの』。中浜という地区の名前は、漢字で書くと『なかはま』と読まれてしまうので、ひらがなで『なかのはま』。『100』は、地区の田んぼがちょうど100ヘクタールほどあるからです。」(代表・田崎さん)
地名と方言、田んぼの広さ、そしてユーモアまで、法人名に詰め込まれています。
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◆ 「みんなでやる」と決めた20年前
「イーノなかのはま100」が設立されたのは、平成18年(2006年)10月。 立ち上げの中心となったのは、いまの代表・田崎さんより上の世代です。
「これからのことを考えたら、後継者がいない家がどうしても出てくる。じゃあ、そうなる前に、『みんなで一緒にやろう』と。会議を何十回も重ねました。」(田崎代表)
何十回も会議を重ねた成果もあり、地区内の農地はほぼすべてが法人に集約された形に。
集落全体で農地を守り、耕作放棄地を出さない——。これが、設立から一貫して掲げているコンセプトです。
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◆コンバイン1台2,000万円。機械の共同利用で持続可能な経営を
集落営農の大きな利点のひとつが、高額な農業機械の共同利用です。
「いまのコンバインは1台1,800万〜2,000万円。トラクターでも800〜1,000万円。田植機は500〜600万円ほどしますが、稼働するのは1年のうち約20日です。これを各農家が個別に持つことは、簡単なことではありません。」(田崎代表)
イーノなかのはま100では、コンバインを2台、トラクターを7〜8台を保有。集落全体でシェアすることで、設備投資の負担を抑え、機械の稼働率も高めています。
また、地区内には1筆あたり最大1.5ヘクタールに及ぶ大区画の水田があり、効率的な機械作業が可能です。九頭竜川水系を起源とする冷たい地下水を利用することで、夏場の水温管理にも適した環境となっています。
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◆ 4品種をリレー栽培。気候変動への現場の答え
「イーノなかのはま100」では、いちほまれ・コシヒカリ・ハナエチゼン・あきさかりの4品種を栽培しています。
「同じ品種ばかりだと、刈り取りの時期が一気に集中してしまい、1週間前後で全部刈らなければなりません。とても追いつかない。」(田崎代表)
刈り取り時期が異なる4品種を組み合わせることで、8月20日ごろから9月後半までの約1か月間、リレーのように順次収穫することが可能になっています。これにより、天候不順時の収穫リスクも分散できます。
加えて近年は、夏の高温による品質低下が深刻な課題に。コシヒカリの暑さへの限界を見据え、高温耐性のある「いちほまれ」を導入しているほか、福井県の新しいブランド米「ハナエチゼン」改良品種の試験栽培も視野に入れています。
「これからも気候に合わせて、品種を考え続けないといけません」(田崎代表)
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◆ 田植えは「お祭り」——働き手2年目・東出さんの言葉
取材当日、田植えの現場では、1台の田植機につき5名のチームが組まれていました。 運転手1名、苗を運ぶ係2名、肥料・苗をセットする係2名という体制です。
「田植えは、確かに花形の仕事です。でもそこに至るまでに、苗をどう育てるか、葉をどう見るかなど、毎日いろんな仕事があります。今日は、それが全部つながって『いよいよ田植え』になる日なのです。だからお祭りなのですよ、田植えって。」
そう話してくれたのは、入って2年目の東出(ひがしで)さん。前職は別業種からの転身です。
「みんなで協力して、村のなかでコミュニケーションが生まれる。最後には、自分の植えた苗が自分の力で芽を出してくる。その瞬間がいちばん嬉しいですね。」
集落営農は、農地を守るだけでなく、世代を超えた人と人のつながりを生む場にもなっています。
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◆ つぎの20年を見すえて——専従雇用の検討も
一方で、課題もあります。
組合員の多くは平日に別の仕事を持っており、田んぼには土日や連休を中心に出役しているのが現状です。20代から70代後半まで世代の幅は広いものの、平日に作業できる人手は数名と限られています。
「これからは、専従で動いてくれる人を雇うことも本気で考えていかないと、ほかの組合員の負担が大きくなりすぎる。ここを中心に動いてくれる人。仕組みを作っていきたい。」(田崎代表)
20年前、当時の世代が何十回もの会議を重ねて法人化を決めたように。 いまの世代もまた、次の20年に向けた答えを探し始めています。
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◆ 取材・お問い合わせ先
本リリースおよびイーノなかのはま100に関するお問い合わせは、下記までお寄せください。
リリースに関すること:あわら市政策広報課 TEL:0776-73-8005
イーノなかのはま100の取り組みに関すること:あわら市農林水産課 生産振興グループ TEL:0776-73-8025
(取材・文:あわら市広報アドバイザー もりゆか/photographer:tomosaki)
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福井県あわら市
全国幸福度ランキングで、2014年から6回連続1位を獲得した福井県の北の玄関口であるあわら市。
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【あわら市発】 あわら市の農事組合法人「イーノなかのはま100」が設立20周年
あわら市
11:00
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