【カフェ巡り】アラジン(足利)

【カフェ巡り】アラジン(足利)

 夕暮れが迫るころ、足利女子高前の歩道に屋台が現れる。オイルランプの柔らかな明かりがともり、コーヒーの香りが漂う。

 「恐らく、日本で最初だろうね」。阿部次郎(あべじろう)さん(66)がミルで豆をひきながら、笑顔をほころばせる。全国的にも数少ないコーヒー屋台は、ことし45年目になる。

 船乗りだった父の故弥四郎(やしろう)さんが、中近東で見た屋外のコーヒースタンドに憧れて始めた。次郎さんも直後から店に立ち、その後、兄の哲夫(てつお)さん(70)が加わった。

 メニューは、3種類の豆を使った1杯400円のホットコーヒーのみ。布を用いたネルドリップで、お湯で温めたカップに一杯ずつ丁寧に注ぐ。

 深みがあり、まろやかな味わい。その味の評判を聞きつけ、全国各地から客が後を絶たない。外資系コーヒーチェーンが日本に進出する前、関係者が訪れたこともあったという。

 コーヒー豆の麻袋で覆った屋台では、常連や見知らぬ客同士が肩を寄せ合い、会話を楽しむ。いてつくほど寒い夜なのに、不思議なぐらい身も心も温まる。アラジンの「魔法」の力はすごい。

 ◇MEMO 足利市有楽町、足利女子高の北西側歩道。平日は午後5時~午前0時。土日祝日は午後3時から。雨や強風の日は休み。(問)090・7009・0188。