【続 北の味めぐり】天宮のパン(大田原)

【続 北の味めぐり】天宮のパン(大田原)

 口に含むとほのかな香味が広がる。適度な弾力で、かむほどに甘みが増してくる。

 店で最も人気のある「食パン」(1斤税別300円)は、粉の香りと甘みを引き出す「湯種(ゆだね)製法」で作られる。添加物は入れず、油分はバターのみ。天然酵母と「対話」しながら素材と真摯(しんし)に向き合う姿勢がファンの心をつかんでいる。

 「バケットなど主食として食べてくれる人がいる。コッペパンしか買わない方もいる。コアなお客さんがいてくれるのはありがたい」。経営者の星田裕美子(ほしだゆみこ)さん(35)はうれしそうに話す。

 パン好きが高じて2014年7月、自宅敷地内に開店した。知り合いのパン店経営者が閉店するからとパン焼き窯を無償提供してくれた「ありがたい偶然」が後押し。1人で試行錯誤しながら、パンを二十数種類にまで増やしてきた。

 店名の天宮(てんぐう)は屋号。近隣の人々のなじみやすさを重視して付けた。パンの硬さ、あんの味付けなど、農村の地域住民の好みを意識する。

 「近所の人が食べてくれるのはとてもうれしい。手作りの味を知っている。手を抜けない」と口元を引き締めた。

 ◆メモ 大田原市両郷412の1。午前10時~午後4時。なくなり次第終了。月・火曜定休。1月は金・土・日曜のみ営業。(問)080・9981・5417。