ナイフを入れるとさっくりした手応え。口に入れると、フワッとした食感に思わず頬が緩む。口中に広がる野菜の香りは、まさに季節ごとのぜいたくだ。
キッシュといえば小さいピースで脇役のイメージだが、この店の「季節のキッシュプレート」(税込み850円)は1カット約15センチ。厚さも3~4センチとボリューム満点で、まさに堂々たる主役と言えよう。
オーナーの鈴木(すずき)さとこさん(42)は「配合を吟味して生地を作るので、コクがあってもしつこくないんです」と話す。この日の具材はシメジ、マイタケ、カボチャ、サツマイモ。温かさと味わいが、一口ごとに過ぎゆく秋を感じさせてくれた。
オリーブの香り高い自家製ドレッシングであえた有機野菜のサラダも逸品だ。これならファンが多いのもうなずける。
下戸でなければぜひ合わせたいのが、同店自慢のイタリアワイン。ワインセラーに時季ものがずらりと並び、グラス(同600円~)でもボトル(同3000円~)でも楽しめる。
「一人で軽く飲んだり、食事をしたり。欧州のカフェ感覚で使って」と鈴木さん。“主役級”のキッシュがお待ちかねですぞ。