【続・北の味めぐり】スイーツランチ くろ麦(那須塩原)

【続・北の味めぐり】スイーツランチ くろ麦(那須塩原)

 日本庭園のある純和風の外観。店に入ると、ケーキの並ぶディスプレーに居酒屋風カウンター。焼酎が並ぶ棚にエスプレッソマシンも。「何屋かって? そうだよね。でも、ようやく理想に近づいてきたんだ」と店主の佐々木隆則(ささきたかのり)さん(62)。

 そば職人として東京での修業を経て、31歳で独立。頑固な職人肌のそば屋だった。「いつかは親子で店をやりたい」。開店当初から夢があった。

 3人の子はすべて男子。それぞれ料理人として修業した。しかし店に入るたび、隆則さんと衝突した。次男のケーキとのコラボは一度断念、三男と居酒屋を試したこともあった。カウンターはその名残だ。

 そうこうするうちに、東日本大震災、消費税増税があった。家族で話し合う機会が増え、隆則さんは気付く。「個人の趣向は変わらない」。そばの技術継承を諦めると、個性を尊重できるようになった。

 新メニューの「スイーツランチ」(1300円)は次男によるケーキ盛り合わせが最大の売り。父の本格的な盛りそばは、一歩下がり引き立て役に徹する。

 今は忙しいホールを長男が切り盛りし、22日には次男の「バンビ洋菓子店」が隣地に開店。三男は昨年宇都宮で独立した。「客に向き合う父の姿勢を受け継ぎたい」という子の言葉を胸に、父は今、迷いなくそば打ちと向き合えている。

 ◆メモ 那須塩原市二区町322。午前11時~午後2時半、午後5~8時。電話0287・36・5906。