【北の味めぐり】十一正宗 さくら原酒(矢板)

 近江商人を先祖に持つ初代夫妻が酒造りに適した水や気候風土を求め、鹿沼から移住。既存のしょうゆ醸造蔵を買い受け、1874(明治7)年に創業した。5代目の森戸康雄社長(51)が「十一正宗」の銘柄を受け継いでいる。

 さくら原酒は、伝統を守りつつ新たな市場の開拓に熱心な森戸社長の思いがこもった商品の一つ。蔵に付いた酵母を利用する従来の日本酒と異なり、自然界から酵母を取ったのが特徴だ。

 この天然吟香酵母は森戸社長の恩師で元東京農業大教授の中田久保さんがサクラの花から純粋分離に成功。全国の教え子たちによる研究会の一員である森戸社長が8年前に商品化した。

 森戸社長は「甘い香りがし、後味の切れがよい。通常の日本酒は水を入れると味のバランスが崩れてしまうが、それがない」と紹介。夏は氷を入れて冬はお湯割りで楽しめる。

 「まったく新しい感覚の日本酒。中華やイタリアンなど現代の食生活に合う」。酒造りに使うコメは矢板市内や周辺産地の酒米を使用。愛される地酒造りを心掛ける。

 ◆メモ 矢板市東泉645。十一正宗「さくら原酒」は720ミリリットル1080円、1800ミリリットル2160円。午前9時~午後5時。電話0287・43・0411