鶏の半身を丸ごと揚げた空揚げから香ばしいしょうゆの香りが漂う。かぶりつくときつね色に揚がった皮がぱりぱりと音を立て、中からほのかな甘みを含んだ肉汁があふれ出る。
1960年に女将の大塩功子さん(54)の父であり先代の故敏男さんが鶏肉の精肉店から転身し創業。初めはカツ丼や親子丼を提供していたが、「鶏からあげ」のあまりの人気にご飯や鶏がらスープのみそ汁が付いた定食に一本化したという。
「昔から変わることのない味が評判なんです」と功子さん。味の決め手はさっぱりとした味が特徴のしょうゆを使った自家製タレ。若鶏の肉を使うことで味が奥まで染みこむ。
敏男さんは約2年半前に病気で死去。入院する直前、店を手伝っていた孫の祐司さん(28)に包丁の使い方や食材の仕込みを教えた。店にはマニュアルがなく、空揚げの揚げ上がる時間は自分の耳などを頼りに判断しているという。
現在は功子さんと祐司さんの2人で店を切り盛りする。「関東一円から訪れる客のため、先代の味を変えることなく伝統を受け継いでいきたい」
◆メモ 日光市中央町7の17。定価1個1050円。定食は1500円。午前11時~午後6時30分(同3時30分からテークアウトのみ)。定休は月曜と第2日曜日。電話0288・21・0150。