【北の味めぐり】「鮎甘露煮」大田原・高橋商店

【北の味めぐり】「鮎甘露煮」大田原・高橋商店

 炭火で焼きしめてから、13時間煮込まれたアユは、臭みは全くなく、骨まで軟らかい。甘くどこか懐かしい味が口の中に広がる。

 「子どもでもおいしく食べられますよ」。高橋俊一社長(58)の自信の表情にもうなずける。初めて魚を頭ごと食べてみるのに、うってつけの一品だろう。

 黒羽地区中心街の入り口で、戦前から続く鮮魚店。高橋社長は3代目だ。今では黒羽土産の定番となった「鮎甘露煮」は、先代の父が1976年ごろから始めた。

 国産アユを丸ごと串焼きにしてから、さゆで6時間煮て、軟らかくする。その後砂糖、しょうゆ、みりん、地酒でまた7時間煮て、味を染み込ませている。

 高橋社長は「知られるようになるまで、10年はかかった。徐々に口コミで広がっていった」と振り返る。

 ある日のテレビのニュース。帰省ラッシュの渦中、新幹線のホームでインタビューを受ける年老いた女性が提げていたのは、高橋商店の青い紙袋だった。「うれしかったですね」。“定着”を実感した瞬間だ。

 かつては百貨店に出品したこともあったが、今はやめた。「黒羽で買ったり、黒羽から贈ることに意味がある商品なんだと思う」

 ◆メモ 大田原市黒羽向町3。子持ち小7~8尾入り3130円など。午前8時~午後7時。元旦以外は年中無休。電話0287・54・0105。