宝湯で入浴客を癒やしている銭湯絵と稲垣さん

鈴木エイジさん

宝湯で入浴客を癒やしている銭湯絵と稲垣さん 鈴木エイジさん

 【宇都宮】若草1丁目の銭湯「宝湯」で、男体山を描いた巨大な銭湯絵が入浴客を癒やしている。銭湯絵を手掛けたのは、文星芸大美術学部デザイン専攻2年の鈴木(すずき)エイジさん(20)。後継者不足や老朽化などで「昔ながら」の銭湯が次々と閉店する中、老舗の銭湯に若い感性が注ぎ込まれた。

 宝湯にはこれまで、銭湯絵がなかった。だが昨年秋ごろ、大浴場の奥にある休憩室の内装改築に伴い、店主の稲垣佐一(いながきさいち)さん(69)が客を癒やす銭湯絵の設置を考えた。県生活衛生営業指導センターに相談すると、文星芸大地域連携センターを通して鈴木さんを紹介。鈴木さんは「大きな作品は初めてだったので、挑戦したいと思った」と快諾したという。

 銭湯絵は縦2・3メートル、横6・2メートル。鈴木さんは、稲垣さんの「定番の富士山ではなく、栃木ならではのものを描いてほしい」という要望に応え、自身の作風である現代的なグラフィックを用いて男体山や中禅寺湖、船や鳥をペンキで描写。授業の合間などを制作に充て、20日間の作業を経て、昨年12月中旬に完成した。

 最盛期には県内に130軒以上あったという銭湯。後継者不足や店の老朽化、家庭の風呂の普及などに押され、県公衆浴場業生活衛生同業組合の加盟店は4軒に激減した。さらに市浴場組合に所属するのは宝湯1軒のみとなっている。

 稲垣さんと妻茂子(しげこ)さん(66)の2人で切り盛りする宝湯。入浴客もかつてに比べ減少しているが、銭湯絵の評判は上々という。「初めて来た人も、癒やしになると言ってくれる」と稲垣さん。鈴木さんは「入ってすぐに視界に写る男体山を楽しんでほしい」と来店を呼び掛けている。

 午後1時~11時半。入浴料は中学生以上420円、小学生180円、6歳未満90円。(問)宝湯028・624・8049。