素朴な疑問が解消されない。なぜ悲劇は繰り返されるのか。

 那須町で大田原高の生徒7人と教員1人が死亡した雪崩事故から8カ月が過ぎた。取材過程で過去の事故に触れ、その多さには素直に驚かされた。大学生2人が亡くなった北アルプス・大日岳遭難事故(2000年、富山)、高校教員が犠牲になった北アルプス・遠見尾根事故(1989年、長野)。似たような雪崩事故も少なくないのが実態だ。

 取材した有識者の一人は交通事故を引き合いに出し、疑問に答えた。安全運転を心掛けても事故が起きることはある。完全にゼロにするのは難しいという意味だが、本当にそうだろうか。

 10月、佐野高山岳部のOB2人にお会いした。67年前に群馬、新潟県境の谷川岳で同部員ら5人が犠牲になった雪崩事故の生還者。「(仲間が)泣きながら雪を掘っていた」。記憶は今も生々しい。

 「事故を語り継ぐことが必要」。そう口をそろえた当事者2人の言葉が重く胸に響いた。