宇都宮大学 学長 石田朋靖氏 

地方創生担う人材育成

 宇都宮大学は来年の創立70周年に向けて教育システムの改革を進めている。2020年4月に予定する大学院の大幅な組織改革・教育改革が大きな柱だ。「本学の大学院は、これまで国際、教育、工、農という学部の上にエントツ型の研究科という形でした。しかし、大学院レベルで先端的でイノべーティブな研究をやろうとした時、従来の狭い専門領域だけに留まるのではなく分野を超えた専門知の学際的なアプローチが必要であり、また、自らの強みである専門性を高める上でも、学識の裾野を広げる必要があります」

 こうした現状認識に立ち、大学院の大幅な改革に向けた取り組みを進めている。大学院は1研究科2専攻、社会のハードやソフトをデザインする専攻と産業のイノベーションを支える農工融合の専攻からなり、それぞれの下に複数の教育プログラムを設置する。プログラムの中には宇都宮大学が高い競争力を誇る光工学と分子農学の融合プログラムなどもあり、さまざまな融合により、将来の社会をリードする質の高い人材育成と研究環境を整えていくという。

 そうした中で、「地方国立大学は、信頼される地域の知の拠点として、地域を元気にするエンジンでなければなりません」と持論を強調。この基本姿勢を貫きながら、改革に取り組んでいく構えだ。

 改革は大学院にとどまらない。激動する世界情勢、少子高齢化の時代を迎え、日本の高等教育はどうあるべきかが根本的に問われているとの認識だ。「この国の高等教育の在り方が大きく変わりつつあります。進学率は上がり、大学の数も増えている中で、大学は出口での質をどう担保していくのか、身に付けるべき能力や学問体系は今まで通りでよいのか。日本の高等教育は将来のグランドデザインを作り直そうとしている段階です。教育の原点に立ち戻り、『どういう人間を育てるか』が全ての教育機関に求められているのだと思います」と更なる変革を見据える。