トヨタウッドユーホーム(株) 代表取締役社長 中津正修氏

土地に尋ね「物語」つづる

 住宅産業は、生活総合産業だという信念の下、「常に一歩先」を読んできた。情報化社会は急速に進み、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった技術が当たり前になりつつある中、「新しいパラダイム(同時代に共通する思考の枠組み、範例)が始まる1年になるでしょう。経済も大きな転換点を迎え、これからは一歩先どころか20、30年も先を読んで手を打たねばならない難しい時代になりました」

 安倍内閣が打ち出した「ソサエティ5・0」は、AI技術を駆使し、ヒトもモノも団体、企業、行政もネットワークでつなぎ、経済発展と社会的課題の解決を両立できる社会を目指す。「超高齢社会、人口減少に対処し、本県においてもサステナブルな社会構築のため、住宅産業も力にならなければならない。相当研究が必要です」と強い使命感を語る。また、新しいモノが古いものを駆逐していくデジタル・ディスラプション(創造的破壊)に気をもむ。フィルムカメラがデジタルカメラに代わられたように「住宅にもディスラプションがあるのだろうか」と考えている。「私流に言えば、過去と現在をいかに結び、未来をどう見据えるかが問われています。過去を否定し未来を語るだけでは駄目だし、過去の延長線上という単純な話でもない」

 昨年、群馬県玉村町に202区画の大型分譲地が完成した。歴史をひもとき、このコミュニティが、未来の玉村にいかに役立つかをイメージしながら開発した。近隣で活躍する人々に協力を仰ぎ「玉村物語」と称し戦略を練った。「業界には『土地の記憶に聞け』という言葉があるように、過去と現在を結ぶ作業は不可欠です」と力説する。一人で住宅部門を立ち上げ今年で43年目。「あの頃は、その家に住まう人の命、家財を守ればよかった。しかし今は違う。はるかに先の未来を見据えてコミュニティをデッサンしなければなりません」。どんなにAIが進化しても「中津流」は変わらないだろう。