日本語をうまく話せない外国人からの110番に対応するため、県警は通訳者を介した多言語対応に取り組んでいる。通報者と110番を受理する県警通信指令課員の通話に、県警の通訳センターの通訳者が加わる「3者通話」の体制を整備。平日昼間は英語や中国語など4言語を軸に対応する。外国人材の受け入れ拡大や東京五輪・パラリンピックなどを視野に、県警は「今後、外国人からの110番は増加する。日本語以外でも通じると周知を強化したい」としている。

 県警によると、110番は一括して同課で受理する。外国語や片言の日本語で通報が入ると、即座に連絡を入れるのが通訳センターだ。同課員がタッチパネルを操作すると、通訳者を介して外国人通報者との3者通話が始まる。

 事件か事故か、場所はどこで、けが人はいるか-。通訳者は外国人通報者から聞き取った内容を同課員に伝え、同課員が警察署などに指令を出す。取り組みは2016年2月に始まった。

 同センターは組織犯罪対策1課内にあり、警察官や警察職員計32人が登録。事情聴取などの際、英語や韓国語、仏語、ウルドゥー語など最大9言語に対応する。3者通話は平日は出勤者が応じ、休日や夜間は当番の担当者が対応している。

 18年12月中旬、宇都宮市内で道に迷った台湾人旅行者から110番が入った。中国語での3者通話で通報者の位置を確認。警察官が駆け付け、再度3者通話を行い、宿泊先が判明した。

 通信指令課によると、18年の外国人からの110番は前年比57件減の642件で、有効な110番の0・5%。日本語を話せる外国人からの通報が多く、3者通話の実施は車の当て逃げや道迷いなど9件だった。しかし同課は「通報できない外国人もいるはず。3者通話は今後増える」とみる。

 同センターで英語とスペイン語を担当する福田美和(ふくだみわ)巡査部長は「経験を積み、やりとりもスムーズになってきている。さまざまな事案に対応できるようにしたい」と意気込む。

 県警は広報活動にも力を入れる。110番の日の10日、宇都宮市内で3者通話の模擬110番を実施。体験者からは「安心して通報できる」などの声が出た。

 4月には改正入管難民法が施行され、20年には東京五輪が控える。外国人観光客などからの110番の増加に備え、県警は「体制整備や人材育成に力を入れたい」としている。