80年以上に渡る我が国の社会や産業の発展への貢献を歴史的業績として高く評価

2025年11月25日
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)

ポイント

■ 世界最大級の学術・標準化団体であるIEEEが標準電波JJYを歴史的に非常に価値が高いと認定

■ 世界で2番目の標準電波局としての開設以来、80年以上に渡り標準電波の発射を継続

■ 戦後日本の復興、技術革新、近代化を幅広く支え、現在も電波時計等に利用されていることを高く評価

 

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)、理事長: 徳田 英幸)がその前身組織から受け継いで運用しているJJYをコールサインとする標準電波が、米国に本部を置く世界最大級の学術・標準化団体IEEEからIEEEマイルストーンの認定を受けました。IEEEマイルストーンは、電気・電子分野の画期的なイノベーションの中で、開発から25年以上経過して、社会や産業の発展に多大に貢献した歴史的業績を認定する制度です。標準電波JJYは1940年の世界で2番目の標準電波局開設以来、日本の放送・電力・交通等のインフラシステムが共通の時刻や周波数を利用することを可能にし、戦後日本の復興、技術革新、近代化を支え、また現在も電波時計等に広く利用されており、今回その歴史的業績が高く評価されました。

 本認定は、2025年11月24日(月)(米国現地時間)に、IEEE理事会で決定されました。

 

背景

 昭和の初め、無線通信技術の発達に伴い電波の利用範囲が広がる一方で、各無線局が発射する電波の周波数が公称の周波数からずれていることによる混信が多くなりました。その解決に向けて、各無線局が発射する周波数を公称のものに正確に合わせることが必要になり、その基準とする周波数の電波すなわち標準電波を発射する標準電波局が必要とされました。このため、NICTの当時の前身組織である逓信省電気試験所は1940年1月に、周波数4 MHz他の短波の標準電波局(コールサインJJY)として、千葉県に検見川送信所を開設しました(図1参照)。米国の標準電波局(コールサインWWV)の送信所に続いて世界で2番目の開設でした。その後、終戦による一時的な中断を経て、1948年8月には標準電波に秒信号を追加することによって時刻通報を開始しました。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202511259742-O1-0eTuVuU2

図1 標準電波発射を伝える官報(1940年)

 

 戦後の標準電波は、国内の無線局検査の基準用途以外にも、試験場や工場での周波数基準、電話による時報サービス、テレビ・ラジオ放送の時刻周波数同期などに幅広く利用されました。その間、送信所は検見川町から小金井町(現・東京都小金井市)、さらにNTT名崎送信所(茨城県)に移転しましたが、短波による標準電波の精度が時代の要請を満たさなくなってきたため、短波標準電波送信所は2001年3月に完全廃止されました。一方で、短波標準電波より高精度な標準周波数を送信するため、1999年6月に福島県に、長波による標準電波局JJYとして、おおたかどや山標準電波送信所(送信周波数40 kHz)が開設されました(図2参照)。さらに2001年10月には佐賀県と福岡県の県境に第2のJJYとして、はがね山標準電波送信所(60 kHz)が開設されて、世界的にも他に例が無い、2送信所の同時運用による長波標準電波局の体制が確立して、現在に至っています。

 特に長波標準電波には時刻コードが含まれており、それを利用して自動で時刻調整する電波時計が現在国内で広く普及しています。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202511259742-O2-vomkzo29

図2 おおたかどや山標準電波送信所(1999年運用開始)

 

IEEEマイルストーンの認定

 上記の業績からIEEEは標準電波JJYに対してIEEEマイルストーンの認定を行いました。IEEEマイルストーン は、電気・電子・情報技術の発展に大きく寄与した歴史的成果を顕彰する制度です。これはIEEEの中でも最も権威ある認定制度の1つで、IEEE理事会により決定され、現、前、元あるいは次期のIEEE会長が贈呈者として赴き、業績をたたえる銘板がそれに関係のある場所で直接手渡されます。この制度は1983年に創設されて、2025年9月22日までに世界で297件の業績が認定されており、その内で日本の業績に対するものは58件になります。

 

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101990/202511259742/_prw_PT1fl_Ssq5y37X.png

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101990/202511259742/_prw_PT2fl_C1Gf6vnw.png

(参考)IEEEマイルストーン認定銘板の文章

 

今後の展望

 現在、標準電波の発射は、総務省設置法第4条1項68号及び国立研究開発法人情報通信研究機構法第14条1項3号によりNICTの法定業務として規定されています。NICTは今後も標準電波JJYを安定に運用して、高精度な標準周波数と日本標準時をご利用の皆さまにお届けします。