世納さんが中心となり作ったスポーツチャンバラ部のTシャツが飾られた自宅の祭壇=17日午後、大田原市奥沢

 栃木県那須塩原市緑2丁目の国道400号で12日夜、交差点を自転車で横断中に乗用車にはねられ亡くなった大田原市奥沢、大田原高3年大河原世納(おおかわらせな)さん(18)は19、20日の大学入試センター試験に向けて学習塾で学んだ帰りだった。国公立を目指し勉学に励み、部長を務めたスポーツチャンバラ部でも活躍した世納さん。「(世納さんは)自分にとって夢そのものだった。成長が楽しみだったのに…」。父の会社員賢一郎(けんいちろう)さん(44)は使われることのない受験票を見つめ、無念さをかみしめた。

 読書好きだった世納さんは、高校入学後始めたスポーツチャンバラに夢中になった。唯一の3年生として後輩の指導や部員勧誘に力を入れ、部を引っ張った。黒地に青色の部名入りTシャツも自らデザインした。

 「受験が終わったら、またスポチャンをやりたい」。そう語っていたという。16日に大田原市内で行われた告別式では、出場した大会の賞状も読み上げられた。

 那須雪崩事故で犠牲になった奥公輝(おくまさき)さん=当時(16)=とは親友だった。命日とお盆には自宅を訪ねて友を弔った。「これからも(訪問を)ずっと続けるんだ」。その思いは悲惨な事故によって断ち切られた。

 事故当日は、翌週のセンター試験に向けた最後の追い込みのため、塾に近い親類宅に泊まる予定だった。塾を終えた午後9時半すぎ、参考書などを詰め込んだリュックを背負った世納さんを輪禍が襲った。

 車を運転していた少年(19)は16日に自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで逮捕されたが、ネット上では「被害者が信号無視をしたのでは」との臆測も流れた。日頃から交通マナー違反の現場を見掛けると憤っていたという世納さん。「ルールや規律をきちんと守る子でした。信号を守っていたと信じている」。母のパート範子(のりこ)さん(41)は目に涙を浮かべた。