意見が違っても、議論の場は失わないでほしい。

 政府が国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を表明した26日、県内関係者の受け止めを取材した。鯨肉を扱う料理店は「食材として楽しい。使い続けたい」と商業捕鯨の再開を歓迎。識者は「日本は反捕鯨国を説得できるだけの情報開示が必要」と国に注文した。もっと時間を割けば、より多様な声が聞けたはずだ。

 捕鯨問題で思い出すのは、和歌山県太地町のイルカ漁を批判的に描いた米映画「ザ・コーヴ」。2010年の国内公開時、「反日的だ」との抗議行動が起こり、一時は上映予定を取り下げる映画館もあった。県内でも上映する映画館を警察が警戒するなど緊張が走った。

 政府はIWC脱退後もオブザーバーとして残ることを表明したが、行方が気掛かりだ。来年7月の商業捕鯨再開が近づくにつれ、批判はより強まるはず。政府も、私たち社会も、その声をどう冷静に受け止め、成熟した議論に臨むか。改めて試される気がする。