栃木県内の結核患者、毎年200人超 「せき続いたら受診を」

 「過去の病気」と思われがちな結核。しかし、日本は今も1日約50人が発症する「中まん延国」だ。県内では毎年200人超の新たな患者が発生している。中にはせきや発熱などの症状が出ない“隠れ結核”もあり、気付かずに他の人に感染させてしまうケースもある。国立病院機構(NHO)宇都宮病院の沼尾利郎(ぬまおとしお)院長は「治療すれば、ほとんどが完治する。正しく怖がることが大切。1カ月近くせきが続いたら受診を」と話している。24日は世界結核デー。

 結核は結核菌によって、主に肺に炎症が起きる病気。せきやくしゃみで結核菌が混ざったしぶきが空気中に飛散し、周囲の人がそれを吸い込むことで感染する。県のデータでは、2016年に国内で発症した1万7625人のうち、県内の新登録者は218人。

 沼尾院長によると、県内では高齢者や自国で感染した来日外国人が発症するケースが目立つ。特に高齢者はせきや発熱などの特徴的な症状がなく、誤嚥(ごえん)性肺炎と間違われることもあり、注意が必要という。「治らない肺炎や抗生物質の効かない肺炎の場合は『背後に結核が隠れているかもしれない』と疑ってほしい」と沼尾院長。

 3、4種類の薬を半年~9カ月服用するのが一般的な治療。結核菌がたんから排出されていない場合は外来で治療できる。自己判断による服薬中止や不規則服用は、薬の効かない多剤耐性結核になる恐れがあるため、医療従事者など第三者が服用を確認する「直接服薬確認療法(DOTS(ドッツ))」が推奨されている。

 結核菌に感染しても必ず発症するとは限らず、発症がなければ人にうつすことはない。世界の総人口の3分の1が感染しており、発症していない状態だとするデータもある。感染し、発症するのは10人に1、2人だという。

 だが、加齢や過労、糖尿病、がん治療中など免疫力が弱まっている時は要注意。体内で休眠状態だった結核菌が復活し、感染から数十年後でも発症することがあるからだ。乳幼児期に接種する結核予防のBCGワクチンの効果は10~15年で、成人に効果は期待できない。また、成人になってBCGを打った場合の効果も証明されていないという。 近年、こうした発症リスクがある「潜在性結核感染症(LTBI)」の治療に関心が高まっている。新たな感染の予防になり、結核の根絶につながるためだ。

 日本結核病学会は13年、LTBIに対する新しい治療指針を示し、積極的な治療を勧めている。