「栃木~年越しこんにゃく」と掲載された総務省広報誌「日本全国『特色』MAP」のページ

 31日はこんにゃくを食べて年越し? 総務省が毎月発行している広報誌の12月号に、本県の年越しの風習として「年越しこんにゃく」が紹介されている。だが、その出典はあいまいで、多くの県民にとって「年越しこんにゃく」はなじみが薄いのが実態。県立博物館で民俗学を担当する篠崎茂雄(しのざきしげお)学芸員は「県内の一部地域で行われていた記録はあるが、一般的な風習とは言えないのでは」と首をかしげている。

 掲載されているのは、同省「皆さまのくらし応援情報誌」の「日本全国『特色』MAP」コーナー。12月号は「年越しの風習」がテーマで、秋田の「男鹿のなまはげ」や京都の「をけら参り」といった有名どころとともに、「栃木では大みそかにこんにゃくを食べて、身を清めて新年に臨む」と「年越しこんにゃく」が紹介されている。

 篠崎学芸員によると、こんにゃくは江戸時代の百科事典「和漢三才図会」で体内の砂を払うと書かれたことから、全国各地で特別な日の食事に使われている。特産地の本県は「手に入れやすいこともあり、正月に向けて身を清める大みそかの風習と結び付きやすかった可能性はあるが、栃木限定といえるかどうか」と篠崎学芸員。

 民俗学者の故尾島利雄(おじまとしお)さんらの著書「栃木県の年中行事」に黒磯市(現那須塩原市)の一部で「(大みそかに)砂祓いといってコンニャクを食べた」との記録もあるが、「県内でも大みそかは年越しそばが一般的」(篠崎学芸員)だ。

 同省は同コーナーの執筆を民間の制作業者に委託しており、「内容は業者に任せている」という。制作業者の担当者は下野新聞社の取材に「インターネット上の記事を参考にしてしまった」と話している。

 4月にスタートした同コーナーは「おにぎり」や「七夕」など毎月テーマを設定し、各地の地域色豊かな風習などを紹介している。本県の登場は、9月号の「十五夜」で伝統行事「ぼうじぼ」が取り上げられて以来2回目。広報誌は同省ホームページで閲覧できる。