「継承と改革」つなぐ歴史

 

 1873年創業の金谷ホテルは、現存する日本最古のホテルである。145年の長きにわたりその歴史を刻むことができたのは、決して変化を恐れなかったからだ。「継承と改革を進め、これからも進化を続けます」と決意をにじませる。これまで社長を務めていた嶺(みね)康(やす)夫(お)氏が昨年2月に会長職に就き、総支配人だった平野政樹氏が社長に就任した。同社は、4期連続増収と好調を維持しており、「前社長から引き継いだ体制を崩すことなく、今後も確実な増収増益を目指します」と覚悟を決める。

 昨年は、JRグループの栃木デスティネーションキャンペーン、JTBグループの国内キャンペーンなどの影響で日光地域の入込数が増加した。加えて今年は、JTBグループのキャンペーンで国立公園がテーマになる。「日光には国立公園もあり、まだまだ追い風が吹きそうです」と期待を込める。今後特に力を入れたいのがインバウンドだ。現在は宿泊客の5%ほどに減少したものの、もともとは99%が海外からの宿泊客だった。「欧米の方がこれだけいらっしゃる観光地はかなり珍しい。ただ、それを宿泊に結びつけられないのが今の課題。奥日光まで足を延ばし、日光の魅力を存分に感じてほしい」と、宿泊しなければ参加できないイベントの企画など、宿泊客増加への対策も進めている。それに伴い、中禅寺金谷ホテルの予約も一括で管理できる予約センターを新設。稼働率や単価のコントロールなど、戦略的な営業ができる体制も整えた。

 世界遺産登録20周年、日光山輪王寺三仏堂の大修理が終わりを迎えるなど、今年も日光の話題は尽きそうにない。スタッフをセミナーなど社外研修に積極的に参加させ、これまで以上に従業員の教育に力を注ぐとともに、経費削減を徹底し、経営基盤のさらなる安定を図っていく構えだ。「現存する日本最古のホテルとしてプライドを持ち、恥ずかしくないサービスを維持していきたいですね」と展望を語った。